ちゃっかり読書の秋を楽しんだなあと思って
最近読んだ本がどれも面白かったんで、振り返ります
読んだのは3冊
『ライ麦畑でつかまえて』
『カモメのジョナサン』
『汝、星のごとく』
一作ずつ振り返ります
ライ麦畑でつかまえて
「思春期ってこうだよな」ってなる作品
僕がこれ読んだのは、厳密には夏なので。割と昔
「どんなストーリー?」って聞かれると、「退学処分の生徒が家に帰る」だけの話。
ネットで、『ライ麦畑 ストーリー』とかでググってみてください。多分あんましっかりした回答得られないと思います。
この物語、おそらくですが
・主人公が何をしたのか
はそこまで重要じゃない
・主人公が何を思っているのか
が9割の作品だと思います。
だって家に帰るだけで300ページくらい使ってますからね。
そのうちさらに体感1/3くらいがアックリーに対する悪口なんだよ、正直な話。
つまり、主人公コールフィールドの心の声を聞き続けるのがこの本の肝です。
それの何が面白いのか。
まず、僕は「心の声」が主体の物語を読んだのはこれが初めてです。
大抵、物語は「起こった事実に対してどう思う」のところに感情の余地を与えているからです。
例えば
「幸子の体温が冷たくなっていくことを感じる」
「9月の冷たい風が私の髪を撫でた」
みたいな書き方はよく見るんですが。
「あそこのバーはクソだぜ、カウンターは汚いし店員はブスだし、未成年は入れてくれないんだ」
みたいな書き方をしてくるのがライ麦畑
主人公の主観がこれでもかと入り込んできます。
しかも大抵ネガティブ表現
そういう斜に構えたものの見方しかできないコールフィールドを見て
「思春期ってこうだよな」って、懐かしい気持ちになるのがこの本です。
有名な作品ですが、なぜ有名になったのかっていうのは、やはり「思春期特有の、狭間で揺れる人間の共通感覚」的なものを如実に書き表しているからなんだと思います。
感動とか教訓とかそういう要素はあんまりないんですけど、懐かしい気持ちになれる本です。
多分16歳で出会ってたらめちゃくちゃ共感する作品だと思う。
高校生ってどいつもこいつも妙に生き急いでるというか、暇なくせに忙しそうな顔してるなって最近思ったんですけど、これ読んでから納得しました「内面が忙しいんだな」って。
カモメのジョナサン
速く飛ぶことに命をかけたジョナサンのお話
とある喫茶店で見つけて、パラパラめくって「これおもろそうだな」ってなってた作品。
意外と読んでみるとすらすら読める(あまりページ数も多くない、カモメの挿絵が多い)
カモメの翼は餌を取るためにあり、餌を手に入れるために飛ぶのがカモメである。という枠組みから外れ、飛ぶこと自体に意味を見出したジョナサン。はみ出しものであるとして、群れを追い出されます。
そのあと色々ある。part fourまであるやつが完全版と呼ばれている。今から買うんだったら完全版買えばいいと思います。なぜ完全版が出るまで時間がかかったのか、考察してほしい。
まあ実際に読んでみてください。
ジャンルがとても奇妙な作品です。物語の体を擁しているけれど、哲学的であり、自己啓発的である。
好きな言い回しがあります
噂というやつは、誰かを悪魔にしちまうか神様にまつりあげてしまうかのどちらかだ。
『かもめのジョナサン』リチャード・バック
噂。結束の強いコミュニティであればあるほど彼の力は増す。それは群体として生きる人間のある種必然であるし、噂に近いところにいる人は主観を交えて悪意なくそれを他人に伝える。そうやって共感を得るということを求めたがる。それはプログラムとして組み込まれている。生存戦略として一種の正解であるので、否定することは困難である。
という構造を想像したりします。
「目でみたもの以外を信用しない」
というのはあまりにも排他的ですが、一歩引いた視点は身を助けるように感じます。
特に、個人の声がデカい今の時代においては。
汝、星のごとく
しまなみ海道、今治の離島から始まるお話
近いといえば近い。そういう親近感とは別にタイトル、装丁から確信めいたものを感じたので手に取った作品。
恋愛小説でした。ちなみに僕、恋愛小説は飽きるほど読んでいる。
その視点から言えば、恋愛小説でも面白いやつだったなって思います。
というのも、どちらかといえばそこまで恋愛やってない雰囲気あったからです。
結は恋愛小説っぽかったんですけど、それに至る承転あたりがオモロい。
というのも、男女それぞれの家庭事情がヤバい。
だいぶハードモード人生歩んでる二人が出会うっていう。こういうと美しいけど実際やばいよねっていう部分がこれでもかと描写される。
胸糞っていうわけじゃないんですけど、生きる上でのしんどそうなことをとても綺麗に、それらしく書いていると感じました。
あと名言多い気がします。こういう作品書くのは脳内物質出て楽しそうでもある。
「わたしには家族を支える必要があります」
『汝、星のごとく』凪良ゆう
「ありません。そんなもの」
人生は選択の連続である、幸せに生きたい、自分にとって何が幸せであるのか。
しがらみを抱えて、鈍って、それらしき正解を求める。
そういう人生の難しさを上手く書き表しているような気がします。
最後に
メディアに触れるには労力が要ります。
感情を揺さぶられるかもしれないという恐れが手を止めることも多くあります。
その上で、「読書の秋」という言葉の面白さを少し。
今これ書いているのは23:27なんですけど、このように頭を動かせるのは、ゆとりがあるからだろうなって。
夏に比べて涼しい気候が増えると「あれ、生きやすいな」ってなるのでしょう。
特に畑とか、外で労働するとよく分かります。夏と同じくらい働いても余力がある。
それなのに、日は短くなる。つまり、外で働けても働けないわけですね。
したがって、本を嗜むゆとりが生まれたりね。
逆に、余力があるのに寝床についてもどうせ寝れないわけです。寝れないんだったら寝なきゃいーんだよ
夜空とか綺麗だぜ、澄んでるから。中秋の名月なんつって。
これからおおむライトもげんきになるかもね。
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